はじめに

ウェブサイトの更新は久しぶりになっています。「小動物がいる暮らし」のともさんと申します。実は、しばらくの間、大学院内でフェレットに関する研究をしていました。テーマは「フェレットの健康食品の認知と有効なプロモーションについて」です。

何を言っているか分からないと思うので、簡単に言い換えると、「フェレットの情報ってどこを参考にしているの?」ということです。エキゾチックアニマルは病気のリスクが高いことから健康に配慮する飼い主様も多くおられます。しかし、犬や猫と言ったメジャーな動物に比べると、まだまだ飼育頭数が少ないです。そうなると、エキゾチックアニマル関連のフードや周辺機器を扱っているメーカー様は、なかなかプロモーションに費用をかけることができない状況にあります。そうなれば、良い物を作っているメーカー様が、良い物を必要としている飼い主様に届かないのではないかと考えていました。そのため、有効なプロモーション施策を検討することで、小規模事業者様が自社の製品を知る機会が生まれると考えました。

その中で、私が着目したのはフェレットです。エキゾチックアニマルの中でも人生の中でインスリノーマという病気にかかりやすい動物でもあり、健康への関心が高い動物であります。私自身もフェレットのこっこの飼い主であることから興味が湧いたテーマでもありました。

そこで、「フェレットの健康食品についての調査」をTwitterなどを通じて行わせていただきました!ご協力いただいた方は、誠にありがとうございました。この記事では研究的な側面よりも、わかりやすい部分だけを簡潔にまとめることにします。


1.調査方法

インタビューとアンケートにより調査を行いました。インタビューは10人ほどの飼い主さんに行い、自分の考えた疑問が一定程度正しいかどうかを検討しました。その後、アンケート調査は250人の方にご協力いただきました!(誠にありがとうございます。)

 

 

2. インタビューについて

 

身近なフェレットの飼い主さんに電話でインタビューをとりました。

 

その結果、以下の3つのことが分かりました。

 

一つ目は、健康食品を購入する際には、安全性に関して気を遣う飼い主さんが多いという点です。エキゾチックアニマルの健康食品に関しては、大規模なメーカーではなく個人が製作しているところも多くあります。このことから、健康食品に関する安全性が重要となり、情報を一つだけではなく、複数比較する傾向にあるとのことでした。

二つ目は、情報リテラシー能力についてです。情報リテラシーとは、正しい情報と誤った情報を見分ける力のことを指します。健康に関心の高い飼い主は、自ら成分を獣医や専門家から聞き、本やネット上のウェブサイトの情報を横断的に検索するのではないかとインタビューから導き出されました。また、匿名性の高いSNS での情報よりも、専門家や権威の言葉を参考にする傾向になります。このとき、オンラインでの情報検索は、専門家や獣医さんの意見を聞いた後に行われることがわかりました。

三つ目は、健康に関心を持つこととなるきっかけです。インタビューをしていて最も多かったのは、病気に直面することでした。フェレットという動物を飼育している上で、病気にかかりやすい動物であることは認知しているものの、どこか他人事のように考えている飼い主が多くありました。その中で、自身のフェレットが病気になる経験を経て初めて関心を持つようになることがわかりました。

 

 

このことから、次の3つの疑問を確かめるような調査を行うことしました。

一つ目は、健康への関心度により参考にする情報源は異なり、関心度が高いほど獣医や専門店などのアドバイスなど、専門性の高い権威の助言を参考にするのではないかという点です。健康に対して関心の低い飼い主さんはSNS などの匿名性の低い情報源を参考にするのに対して、健康に対して感心の高い飼い主さんは獣医・専門店からアドバイスなどの専門性の高い情報源を参考にするのではないかと考えました。

二つ目は、健康の関心度合いが高くなるほど、複数の情報源を横断的に使用しているのではないかという点である。これは、健康の関心度合いが高まるにつれて、情報源を複数比較・検討して用いるのではないかと考えました。

三つ目は、SNSによる情報よりも専門性の高い権威の助言によるアドバイスの方が購入率は高く、購入後の満足度も高いのではないかという点です。これは、SNS における情報は玉石混合である一方で、獣医や専門店などによるアドバイスは参考になることが多と考えました。そのため、購入率や満足度は高くなるのではないかと考えました。

 

 

3.アンケートの結果

以下では、「病気経験あり」「病気経験なし」という表記をしていますが、これは飼育しているフェレットが病気になった経験があるか、病気になった経験がないかということを示しています。飼い主さん自身の病気経験ではありません。

このような分け方をするのは、自身のフェレットが病気になった経験が、健康に関する関心度を大きくあげると考えたからです。ここでは、自身のフェレットに病気経験があった飼い主さんを、健康に関する関心度の高い飼い主さんと同一視しています。

 

3-1. 参考にする情報源はどこ?

3-1-1. 普段接する機会のある情報源は?

上記の図は、アンケートの設問をもとに、普段目にすることがある情報チャネルを複数回答方式でまとめたものです。すべての飼い主さんと、病気経験あり/なし別に分けた飼い主さんを数値化し、これを表記しています。この表をみると、「SNS」が97.19%と最も高い割合を示していて、次に「ベテラン飼い主」が57.83%、「獣医・専門店」が同様に57.83%と続いています。一方、「ベテラン飼い主」や「獣医・専門店」については、オンライン上ではなくオフライン上であり、アクセスに時間がかかるにも関わらず参考する機会は多いという結果となった。

一方、「オンライン広告」、「サークル」は比較的低い割合を示していることから、普段目にする機会が少ないことがわかりました。このことは、フェレット市場はまだ規模が小さいことから、健康食品に対してマーケティングコストをかけることが難しいことからなるのではと考えています。

このとき、「病気経験あり」のグループと「病気経験なし」のグループを比較すると、「ベテラン飼い主」と「獣医・専門店」については、普段目にする情報源として「病気経験あり」のグループの方が高い割合となっている。このことから、「病気経験あり」のグループは「病気経験なし」のグループと比較すると、関心度が高いことから専門性の高い情報源を参考にすると考えています。

 

 

3-2. 最も参考にする情報源はどこ?

3-2-1. 最も参考にする情報源

 

一方、上記は最も参考にする情報源を質問したものです。図を見ると明らかなように、「獣医・専門店のアドバイス」が41.8%と最も高い割合を占めている。先ほどの図では、「SNS」が普段目にする情報源として最も高い割合を占めていましたが、最も参考にする情報源としては、「ベテラン飼い主のブログ」と同程度にとどまることがわかります。一方、「オンライン広告」は0.4%と。最も参考にする情報源としてはほとんど回答がなされませんでした。

 

 

 

次に、上記の図は、最も参考にする情報源を、自身のフェレットに病気経験があるかないかで分けて抽出したものです。このグラフを比較すると、「病気経験あり」のグループでは、「勉強会・サークル」の割合が9.7%、「ベテラン飼い主のブログ」が21.3%と高い割合を示しています。これに対して、「病気経験なし」のグループでは、「勉強会・サークル」の割合が2.1%、「ベテラン飼い主のブログ」が14.9%と、比較的低い割合を示していることがわかります。

また、「SNS」を最も参考にする情報源としてあげた割合は、「病気あり」のグループでは16.8%、「病気なし」のグループでは33%と大きな差が見られます。このことから、「病気あり」のグループは「病気なし」のグループに比べて、SNSなどの匿名性の高いグループよりも、正確な情報が集める情報源を利用することがわかりました。

 

3-2-2. 考察

この二つのアンケート結果から、全ての飼い主において、最も信頼する情報源は「獣医・専門店などからのアドバイス」であり、「病気経験あり」のグループが「ベテラン飼い主のブログ」や「サークル・勉強会」を最も信頼する情報源としてあげていたのに対し、「病気経験なし」のグループは「SNS」が多くの割合を占めていたことがわかります。

このことから、健康に対する関心度が高い飼い主ほど権威や専門性の高い情報源を信頼する傾向にあると考えられます。

 

 

3-2. 参考にする情報源の数は?

 

上記の図は、参考にする情報源の数を比較したものである。参考にする情報源は「病気あり」の飼い主さんの方が、「病気なし」の飼い主さんの方が多いことが帯グラフから分かります。このことから、「病気あり」の飼い主さんは「病気なし」の飼い主さんに比べて、横断的に情報を見ていることがわかります。

 

このアンケート結果から、「病気経験」のある/なしで比較したところ、「病気あり」のグループの方が参考にする情報源が多いことがわかります。したがって、「病気経験あり」の飼い主さんは、「病気経験なし」の飼い主さんに比べて商品の情報を探す際に複数の情報源を横断的にみているのではないかと考えられます。

 

 

3-3.  参考にする情報源により、購入率・参考度・満足度は変わる?

 

 

3-3-1. 情報チャネル別の購入率

 

上記の図は、各情報源を参考にしたと答えた回答者が、実際に購入を行なったかどうかの購入率を示すものになります。SNSを参考にしたと答えた回答者が実際に購入を行なった割合は、病気あり/なしにかかわらず高い値を示しています。一方、「オンライン広告」を参考にしたと答えた回答者が実際に購入を行なった割合は、病気あり/なしにかかわらず低い値を示していました。

また、「ベテラン飼い主のブログ」と「獣医・専門店からのアドバイス」については、「病気あり」の飼い主さんと「病気なし」の飼い主さんでは、購入率に差が見られています。このことを考慮すると、関心度の高い飼い主さんの方が、より専門性の高い権威の情報源に基づき購入を行うのではないかと考えられます。

 

 

3-3-2. 参考度と満足度の平均

 

上記の図は、参考度と満足度の平均を示したものである。この値は、以下のような5段階評価の平均をとったものです。

 

5.とても参考にする/とても満足した 4. 参考にする/満足した 3. どちらともいえない 2. 参考にしない/満足しなかった 1. 全く参考にしない/全く満足しなかった

 

参考度の平均においては、「獣医・専門店」によるものが4.42と高く、次に「サークル・勉強会」が4.19、「ベテラン飼い主のブログ」が4.09と続いています。一方、「SNS」の参考度の平均は3.85、「オンライン広告」の参考度の平均は3.00となっています。「SNS」は、普段接する機会のある情報源としては非常に高い値をしめしていたものの、参考度については他の情報源に比べて低い値を示していると考えられます。

満足度の平均については、参考度と同じく「獣医・専門店」によるものが4.17と高く、次に「サークル・勉強会」が4.10となっている。この「獣医・専門店」と「サークル・勉強会」については、いずれも平均値が高いことがわかります。

 

3-3-3. 考察

以上の2つのアンケート結果から、購入率においては、オンライン広告を通じた情報による購入率は極めて低くSNSを通じた情報による購入率は高いことがわかった。また、「獣医・専門店によるアドバイス」による購入率は、病気経験のある/なしで異なることがわかった。このことから、 病気経験がある飼い主は、より切実に健康のことを考えるため購入にいたるのではないかと考えられます。

一方、「獣医・専門店によるアドバイス」は参考度と満足度が共に高く、 また、両者の間には弱い相関がみられた。インタビューの結果も踏まえると、 権威や専門家の言葉であるからということでその情報を参考にする飼い主は多く、その情報を参考にして購入した製品 に満足する飼い主が多いと考えられます。

 

 

 

4. 有効なプロモーションの方法は?

当調査では「獣医・専門店によるアドバイス」が最も信頼できる情報源としてあげられており、参考度と満足度も共に高いという結果となりました。

また、単一の情報源を参考にする飼い主さんは少なく、複数の情報チャネルを横断的に参考にしています。この傾向は、自分の飼育しているフェレットが病気になった経験がある飼い主さんの方が強いと考えられます。

さらに、SNSを参考にした購入率が高いことから、「SNS」を通じた他の飼い主の使用例や感想などが購入を動機づける要因として強く機能していると考えられます。

以上のような調査結果を踏まえると、「獣医・専門店」との共同製品開発や監修などを用いて権威の後ろ盾を得ることやSNSを用いてユーザーを巻き込む形のプロモーション手段が有効になるのではないかと考えられます。

 

おわりに

 

今回は、エキゾチックアニマルと呼ばれるニッチ動物の健康食品が、どのような情報チャネルにより認知・購入されるのかについて、フェレット市場に着目して調査を行いました。

フェレットの健康食品については、ニッチな市場であることから、小規模なメーカーであればマーケティングにコストを割くことができません。制限された状況下で有効なプロモーション施策を行うためには、消費者の視点から情報チャネルを分析する必要があると感じて今回の調査を行いました。

プロモーションの提案については時間があまりなく、それほど追求できませんでしたが、フェレットの飼い主さんが健康食品の情報を探す際に、どのようなものを参考にしているかをまとめることができたかと思います。

アンケートに答えていただいた方、本当にありがとうございました!


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